キャリアコンサルタントのみってるです。
「部下にもっと主体的に動いてほしい」
「自分から考えて工夫を提案してほしい」
部下を指導する立場であれば、このように考えることもあるのではないでしょうか。
しかし、部下が何か新しい活動を始めたり、自分なりの工夫を試みようとしたりするとき、職場にはそれを素直に「やってみます」と言える空気が整っているでしょうか。
部下が自発的に動けるかどうかは、本人の意欲や性格だけの問題ではありません。実は、部下の提案や意見に対する**「指導者側の普段の反応」**が、職場の空気を大きく左右しています。
今回は、部下が前向きに「やってみます」と言える職場環境をどのようにつくっていくのか、その関わり方について整理して考えてみたいと思います。
1. 部下の小さな工夫を「失敗しないこと」で止めていないか
例えば、部下から次のような相談を受けたとします。
「今度の案件、少しやり方を変えて試してみたいのですが」
このとき、指導する側として最初にどのような言葉を返しているでしょうか。
「それでうまくいくの?」
「前のやり方のほうが確実なんじゃない?」
もし、反射的にこのような言葉を返しているとしたら、少し立ち止まって振り返る必要があります。
もちろん、仕事である以上、どんなことでも自由にやらせればよいというわけではありません。失敗した際のリスクが大きすぎる場合や、明らかに会社の方針・ルールから外れているようなことであれば、上司が適切に止める必要があります。それは管理職としての重要な責任です。
しかし、そこまで大きなリスクがないような「日々の小さな工夫」や「ちょっとした進め方の変更」まで、失敗を避けることを優先して止めてしまうとどうなるでしょうか。
部下の側には、
こうした反応が続けば、部下が「自分から提案するのはやめておこう」と考えることもあるでしょう。
その結果、自分から工夫したり提案したりすることを控えるようになってしまうことがあります。
2. 「先に答えを出す」ことが部下の思考を止めてしまう
私がマネージャーをしていた頃、大切にしていたことの一つに、うまくいかなかった活動に対して**「では、次はどうする?」**と部下と一緒に考える姿勢がありました。
また、社内で誰かがうまくいった方法があれば、「このやり方を一度試してみたらどうだろう」と話すこともありました。
仕事においては、一度の取り組みですぐに成果が出るとは限りません。むしろ、少しやり方を変えてやってみる、その結果を見てまた工夫する、という繰り返しのプロセスが必要です。
そのためには、部下自身が現場で「次はこうしてみたいです」と言える状態になっていることが欠かせません。
ところが、部下が何かを言おうとしたときに、指導者が先回りして、
「それは違うよ」
「こうすればいいんだから、この通りにやりなさい」
とすぐに正解を与えてしまうと、指導者が先に答えを出すことが続けば、部下自身が考えたり、自分の考えを伝えたりする機会を減らしてしまう可能性があります。指示待ちの姿勢は、部下個人の資質だけでなく、指導側の「先に答えを出してしまう関わり方」からも生まれてしまうことがあります。
3. すぐに良し悪しを判断せず「どうしてそう考えたの?」と聞く
では、部下が「やってみます」と言える空気をつくるために、指導者は普段どのような反応を意識すればよいのでしょうか。
難しいテクニックが必要なわけではありません。
部下から何かやり方の変更や提案があったとき、すぐに「良い」「悪い」を判断するのを一度保留にして、まず次のように問いかけてみることです。
「どうしてそう考えたの?」
提案の内容そのものを評価する前に、その背景にある「部下の考え」を聞いてみます。現場でお客様と接する中で何を感じたのか、なぜこれまでのやり方を変えようと思ったのか、その理由に耳を傾けます。
部下の考えを確認したうえで、大きな問題がない範囲であれば、
「それなら、一度やってみようか」
と背中を押してみる。
この一言があることで、部下は自分の頭で考えたことを実際の仕事の中で試す機会を得ることができます。自分の考えを受け止めてもらえたという経験が、「次も考えて提案してみよう」という意欲につながっていきます。
4. やってみた後の「振り返り」が日常業務を学びに変える
そして、もう一つ欠かせないのが「実際にやってみた後の関わり方」です。
部下が自分で考えたことを試してみた結果、うまくいくこともあれば、思い通りにいかないことも当然あります。
大切なのは、その結果だけで終わらせないことです。
- 「実際にやってみて、どうだった?」
- 「次はどうしてみようか?」
と、結果を踏まえて一緒に振り返る対話の時間を持つことです。
うまくいったのであれば何が良かったのかを確認し、うまくいかなかったのであれば何が原因だったのか、次はどこを修正すればいいのかを考える。
この「やってみる → 振り返る → 次を考える」というサイクルが回ることで、日々の仕事そのものが部下にとっての学びの機会になっていきます。
まとめ:自分の「普段の反応」を振り返ってみる
部下に主体的に動いてほしい、自分で考えて仕事を進めてほしいと願うとき、まず目を向けるべきは部下の性格ではなく、指導者である自分自身の「普段の反応」です。
部下が「これをやってみたいです」「次はこうしてみます」と口にしたとき、自分は日頃どんな表情で、どんな言葉を返しているでしょうか。
「それでうまくいくの?」と防衛的になっていないか。
「こうしなさい」と先に正解を押し付けていないか。
日常の小さなやり取りの積み重ねが、「やってみます」と前向きに挑戦できる空気をつくることもあれば、「余計なことは言わないでおこう」という空気をつくってしまうこともあります。
まずは次の機会に部下から相談があったとき、「どうしてそう考えたの?」と理由を聞くことから始めてみてはいかがでしょうか。
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