重要な仕事を手放すことも成長なのか?――経験を次の人と組織へ残すということ

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成果を出す思考プロセス

ブログ記事のポイント

  • 重要な仕事を任されることは、自信や仕事への誇りにつながります
  • 成果が安定しているため、担当を変えない方がよい場合もあります
  • 昇進を望まないことと、重要な仕事を自分だけで抱え続けることは同じではありません
  • 経験を次の人へ渡すことで、担当を離れた後も組織へ貢献できます
  • マネージャーには、自分で成果を出すことから、部下を通じて成果を出すことへの変化が求められます

重要な仕事を任されることは、自信と誇りになる

私は長年、営業の仕事をしてきました。

営業には、さまざまな得意先があります。

その中には、会社全体が注目するような重要な施設もありました。

そのような施設を任されることは、営業担当者にとって名誉です。

「あの施設を担当している」

ということが自信になり、仕事への誇りにもなります。

難しい得意先との関係を築く。

相手の考えや状況を理解する。

社内の関係者と調整しながら、必要な提案を行う。

思うような成果が出ないときには、何を変えるのかを考える。

重要な仕事を任される中で、さまざまな経験を積むことができます。

私自身にも、担当していることを誇りに感じる施設がいくつかありました。

長く関わることで相手への理解が深まり、信頼関係が築かれていきます。

すぐには成果につながらなかった取り組みが、時間をかけることで実を結ぶこともあります。

そのため、重要な仕事を長く担当すること自体が問題なのではありません。

担当を変えない方が、安定した成果につながる場合もあります。

優秀だからこそ、担当を変えられないことがある

ある地域では、重要な施設の担当者が10年以上変わっていないことがありました。

なぜ変更されなかったのか、詳しい理由は分かりません。

その担当者が優秀で、得意先との関係も良く、成果を出し続けていたのかもしれません。

会社としても、安定した成果が出ている状態を変えたくなかった可能性があります。

重要な得意先であれば、担当変更には不安が伴います。

新しい担当者が、これまでと同じ関係を築けるとは限りません。

引き継ぎによって、一時的に成果が下がることも考えられます。

そうであれば、

「今の担当者に任せ続ける方が安心だ」

と考えるのは自然なことです。

本人にとっても、重要な施設を任され続けることは、自分が評価されている証しになります。

会社から必要とされている。

自分にしかできない仕事がある。

そう感じることで、仕事への意欲が高まることもあります。

一方で、私は少し気になりました。

その人が本当に優秀なのであれば、その力を一つの施設だけで発揮し続けるのではなく、経験や考え方を周囲へ広げることもできるのではないか。

その人の経験を、組織全体を強くするために生かすこともできるのではないか。

そう考えたからです。

昇進を望まないことと、仕事を抱え続けることは違う

重要な施設を担当し続けることも、一つの働き方です。

本人が管理職や次の役職を望んでいないのであれば、無理にステップアップを勧める必要はありません。

専門性を高め、営業担当者として活躍し続ける道もあります。

キャリアは、誰もが同じ階段を上るものではありません。

管理職を目指す人もいれば、現場で専門性を高めたい人もいます。

本人が大切にしたいことや、得意なことに合わせて働き方を選ぶことは必要です。

ただし、昇進を望まないことと、重要な仕事を自分だけで抱え続けることは同じではありません。

管理職にならなくても、自分が培ってきた経験を後輩へ伝えることはできます。

重要な施設を次の担当者へ任せる。

最初は同行し、これまで築いてきた関係や、成果につながった考え方を伝える。

新しい担当者が迷ったときには、経験者として支援する。

自分が担当から外れても、その施設や組織へ貢献する方法はあります。

それは、自分の居場所や価値を失うことではありません。

自分が積み重ねてきたものを、次の人へ渡すという新しい役割です。

「自分にしかできない仕事」は、本当に残すべきものか

仕事をしていると、

「この仕事は、自分にしかできない」

と思うことがあります。

周囲からも、

「あの人にしか任せられない」

「あの人がいれば安心だ」

と言われるかもしれません。

それは、これまで努力を重ね、信頼を得てきた結果でもあります。

必要とされることは、うれしいものです。

自分の経験や能力が認められていると感じます。

しかし、自分にしかできない仕事が増え続けることは、本人と組織の両方にとって、本当によい状態なのでしょうか。

その人が休めば、仕事が止まる。

異動や退職によって、これまでの関係や方法が引き継がれない。

後輩が重要な仕事を経験する機会を持てない。

このような状態であれば、優秀な人がいることが、組織の弱さにつながってしまう場合があります。

もちろん、すべての仕事をすぐにほかの人へ渡せばよいわけではありません。

長い時間をかけて築いた関係や、専門的な知識が必要な仕事もあります。

大切なのは、

「自分にしかできない状態を、このまま続けてよいのだろうか」

と一度考えてみることです。

経験を積んだ人の価値は、難しい仕事を一人でできることだけではありません。

自分にしかできなかった仕事を、ほかの人にもできるようにする。

そこにも、経験を積んだ人だからこそ生み出せる価値があります。

マネージャーが仕事を抱えると、部下は経験できない

マネージャーにも、同じことが言えます。

経験のあるマネージャーが重要な仕事を担当すれば、早く確実に成果を出せることがあります。

難しいお客様への対応。

大きな問題が起きたときの判断。

経営層や他部署との調整。

経験が必要な仕事ほど、マネージャー自身が行った方が安心です。

部下へ任せれば、時間がかかります。

思ったとおりに進まないこともあります。

失敗する可能性もあります。

そのため、

「今回は自分がやった方が早い」

と考えることがあります。

私自身にも、そのような場面がありました。

目の前の成果を考えれば、マネージャーが担当した方がよいこともあります。

しかし、それを繰り返していると、部下はいつまでも重要な仕事を経験できません。

経験していない部下に、

「もっと自分で判断してほしい」

「そろそろ重要な仕事を任せられるようになってほしい」

と期待しても、難しいと思います。

人は、仕事を説明されただけで、できるようになるわけではありません。

実際に任され、考え、行動する中で学んでいきます。

マネージャーが重要な仕事を抱え続けることは、部下の失敗を防ぐ一方で、部下が成長する機会も減らしているかもしれません。

自分で成果を出すことから、部下を通じて成果を出すことへ

担当者として働いているときは、自分が行動し、自分で成果を出すことが評価されます。

難しい仕事を担当できる。

重要な得意先から信頼される。

問題が起きても、自分で解決できる。

このような力は、仕事をするうえで大切です。

しかし、マネージャーになると、求められる役割が変わります。

自分が重要な仕事を抱え、成果を出し続けるだけでは、チーム全体の力は高まりません。

部下へ経験を渡す。

必要なときに支援する。

部下が成果を出せるようになる。

その部下が、さらに次の人へ経験を伝える。

自分で成果を出すことから、部下を通じて成果を出すことへ。

この変化も、マネージャーに必要な成長ではないでしょうか。

仕事を手放すことは、責任を放棄することではありません。

これまでの経験や実績を失うことでもありません。

自分が培ってきたものを、次の人と組織へ残すことです。

自分が担当から外れた後も成果が続くのであれば、それは自分の経験が組織に残ったということだと思います。

まずは、自分が抱えている仕事を振り返ってみる

皆さんは現在、どのような重要な仕事を担当しているでしょうか。

その中に、

「自分が行った方が早い」

「自分にしかできない」

と考えている仕事はないでしょうか。

その仕事を持ち続けている理由は何でしょうか。

本当に自分にしかできないからでしょうか。

それとも、失敗が不安だからでしょうか。

自分の得意な仕事や、評価されてきた仕事を手放すことに、寂しさを感じている可能性はないでしょうか。

すぐに仕事を渡す必要はありません。

まずは、自分が抱えている仕事と、その理由を振り返るところから始めればよいと思います。

その仕事を、いつか誰かへ渡す必要があるとすれば、次に経験してほしい人は誰でしょうか。

自分がその人に残したいものは、仕事の方法だけでしょうか。

それとも、その仕事を通じて身につけた考え方や、相手との関係の築き方でしょうか。

自分が重要な仕事を担当し続けることだけが、貢献ではありません。

次の人が重要な仕事を担えるように支えることも、経験を積んだ人にできる大切な貢献です。

まとめ

重要な仕事を任されることは、自信や仕事への誇りにつながります。

成果が出ているのであれば、同じ人が担当し続ける方が、会社にとって安心な場合もあります。

しかし、優秀な人が重要な仕事を抱え続けることで、ほかの人が経験する機会を持てなくなることもあります。

昇進を望まないことと、経験を次の人へ渡さないことは同じではありません。

管理職にならなくても、専門性を生かしながら、後輩や組織へ経験を残すことはできます。

マネージャーも、自分で成果を出すことから、部下へ経験を渡し、部下を通じて成果を出すことへ変わる必要があります。

仕事を手放すことは、これまで積み重ねてきたものを失うことではありません。

自分が培ってきた経験を、次の人と組織へ残すことです。

皆さんは、自分が持っている重要な仕事を、次の人へ渡せているでしょうか。

自分にしかできない仕事を増やすのではなく、自分がいなくても成果を出せる人と組織を育てているでしょうか。

一度、自分が抱えている仕事を振り返ってみてはいかがでしょうか。

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