同じ出来事でも、成果と育成では見るべきポイントを変える
ブログ記事のポイント
- マネージャーは、成果を出すために問題や不足へ目を向ける仕事です
- 同じ出来事でも、見る視点によって確認することや関わり方が変わります
- トラブルが起きたときは、問題解決を最優先にして素早く対応します
- マネージャーが着地点を示し、そこへ至る打ち手を部下と考えることができます
- 報連相を重ねながら、問題解決と部下育成を同時に進めることが大切です
こんにちは。
キャリアコンサルタントのみってるです。
今日は、
「マネージャーは、何を見るかを選ぶ仕事」
というテーマで考えてみます。
これまで、職場の空気や、チームの中にある当たり前の基準について書いてきました。
マネージャーの言葉や行動が、チームの基準をつくる。
その基準に沿った行動が繰り返されることで、職場の空気や組織文化につながっていく。
そのような話でした。
今回からは少し視点を変えて、マネージャー自身の物の見方について考えてみたいと思います。
マネージャーは問題を見つける仕事をしている
私は長い間、営業マネージャーとして仕事をしてきました。
マネージャーには、チームとして成果を出す責任があります。
計画どおりに仕事が進んでいるか。
目標を達成できそうか。
活動が遅れているところはないか。
成果が出ていないとすれば、どこに問題があるのか。
何を変えれば、状況を改善できるのか。
こうしたことを考えながら、課題を見つけ、必要な対策を立てます。
そのため、マネージャーは自然と、問題や不足している部分へ目を向けるようになります。
部下の活動を見ても、
「まだ足りないことは何か」
「どこを改善する必要があるか」
と考えます。
これは悪いことではありません。
問題に気づかなければ、必要な対策を取ることもできないからです。
成果を出すためには、欠かせない視点だと思います。
マネージャーが見るのは、成果と課題だけではない
一方で、マネージャーが見なければならないものは、成果や課題だけではありません。
チームの成果を上げることと同時に、部下を育てることもマネージャーの役割です。
同じ出来事であっても、成果を見るときと、部下の成長を見るときでは、見るべきポイントが変わります。
例えば、部下の担当先でトラブルが起きたとします。
成果や問題解決の視点で考えれば、
何が起きたのか。
お客様は何を求めているのか。
会社や他の製品へ、どのような影響があるのか。
どのような状態まで立て直す必要があるのか。
そのために、誰が何をするのか。
こうしたことを確認します。
問題解決を進めるうえで、必要な確認です。
その一方で、育成の視点から見ると、別のことも確認できます。
本人は現在の状況を、どのように捉えているのか。
お客様の反応を、どのように受け止めているのか。
着地点へ向かうために、どのような対応が必要だと考えているのか。
自分ができることと、上司へ支援を求めたいことを整理できているのか。
起きている出来事は同じです。
それでも、見る視点によって、マネージャーが確認することは変わります。
問題解決は最優先にして、素早く対応する
トラブルが起きたときは、問題解決を最優先にします。
特に、お客様や関係者への影響が広がる可能性がある場合には、対応のスピードが重要です。
部下の成長を考えるあまり、対応を遅らせることはできません。
まず、部下から状況を聞きます。
何が起きたのか。
お客様は、どのような反応をしているのか。
これまでに、どのような対応をしたのか。
他の得意先や製品へ影響する可能性はないのか。
できるだけ早く情報を整理します。
そのうえで、私はマネージャーとして、
「今回の問題を、どのような状態に着地させたいのか」
という自分の考えを伝えていました。
問題の着地点を最初に示すのは、最終的な責任を持つマネージャーの役割だと考えていたからです。
ただし、一方的に伝えて終わるのではありません。
「私は、この状態を目指したいと考えています。あなたは、どう思いますか」
と部下の意見を聞きます。
実際にお客様と接している部下のほうが、細かな状況や相手の反応を把握している場合があります。
部下の意見を聞くことで、私が知らなかった情報や、見落としていたことに気づくこともあります。
着地点が決まれば、そこへ至る打ち手を考える
目標とする着地点の認識がそろえば、次は、そこへ至るための活動を考えます。
着地点そのものを部下へ丸投げするのではありません。
マネージャーが責任を持って方向を示したうえで、その方向へ進むために何をするかを一緒に考えます。
「お客様は今、何を求めていると思いますか」
「最初に何を確認する必要がありますか」
「誰に、どのような順番で働きかけますか」
「どのような説明が必要だと思いますか」
「私に、どのような支援をしてほしいですか」
こうした質問をしながら、具体的な活動を整理します。
部下が考えた方法に大きな問題がなく、着地点へ向かうために必要な活動であれば、実行してもらいます。
マネージャーが動く必要があれば、私も前に出ます。
担当者だけでは難しい場合には、上司という立場を使ってお客様へ働きかける。
これまで築いてきた関係を使い、早く話し合いの機会をつくる。
部下と一緒にお客様を訪問する。
マネージャーの立場や経験を、問題解決のために使うことも必要です。
それは、部下の仕事を取り上げることではありません。
マネージャーと部下が、それぞれの役割を使いながら、同じ着地点へ向かうことだと思います。
報連相を重ねながら、着地点と打ち手を確認する
最初に着地点と打ち手を決めても、そこで終わりではありません。
実際に動けば、お客様から新しい反応が返ってきます。
最初には分からなかった情報が出てくることもあります。
考えていた活動が、予定どおり進まないこともあります。
そのため、私は部下との報告、連絡、相談を続けながら、
打ち手は実行できているか。
お客様の反応は、どのように変わったか。
新しい問題が起きていないか。
他の関係者へ影響が広がっていないか。
現在の打ち手を続けてよいか。
着地点を変更する必要はないか。
こうしたことを確認していました。
部下から報告を受けるだけではありません。
私が動いて得た情報も、部下へ伝えます。
お客様と話して感じたこと。
上司や他部門から得た情報。
会社として確認した内容。
次に必要になると思われる対応。
お互いに情報を出し合いながら、現在地を確認します。
目指す着地点が変わらなければ、そこへ到達するために打ち手を修正しながら、全力で取り組みます。
一方、新しい情報によって状況が変われば、最初に決めた着地点にこだわるのではなく、変更が必要かどうかを考えます。
着地点は、一度決めたら絶対に変えてはいけないものではありません。
大切なのは、なぜその着地点を目指すのかを共有し、状況の変化に応じて確認を続けることです。
問題解決の過程が、部下の成長につながる
問題が解決してから、改めて部下を育てるわけではありません。
問題を解決する過程そのものが、部下の成長につながります。
どのような情報を集める必要があるのか。
お客様が求めていることを、どのように確認するのか。
問題をどのような状態へ着地させるのか。
そのために、誰へ働きかけるのか。
どの段階で上司へ相談するのか。
お客様の反応を見て、打ち手をどう修正するのか。
部下は実際の対応を通じて、こうしたことを経験します。
マネージャーがすべての答えを出し、部下が指示されたことだけを実行すれば、問題は早く解決するかもしれません。
しかし、本人が何を考え、なぜその活動を行うのかを理解しないままでは、次に同じような問題が起きたときに、自分で判断することが難しくなります。
だからこそ、問題解決を最優先にしながらも、部下に考えてもらう部分を残します。
着地点はマネージャーが示す。
その着地点について、部下の意見を聞く。
そこへ至る打ち手を、一緒に考える。
実行後の反応を共有する。
必要に応じて、打ち手や着地点を見直す。
この流れによって、問題解決と部下育成を同時に進めることができます。
部下を育成しながら、トラブルを解決する。
部下を育成しながら、成果を上げる。
どちらか一方を選ぶのではなく、日常の仕事を通じて両方を進めていくことが、マネージャーの役割なのだと思います。
同じ出来事を、複数の視点から見る
マネージャーは、さまざまなものを見ながら判断しています。
チームとして成果が出ているかを見る。
部下が仕事を通じて成長しているかを見る。
一人ひとりの経験や強み、課題を見る。
チーム全体やお客様への影響を見る。
同じ出来事であっても、どの視点から見るかによって、確認することや関わり方は変わります。
ただし、すべてを一度に完璧に見ることは難しいと思います。
だからこそ、
「私は今、何を見ているのだろう」
と振り返ることが大切です。
課題や原因だけを見ていないだろうか。
目の前の部下だけを見て、お客様やチーム全体への影響を見落としていないだろうか。
成果を急ぐあまり、部下が考えられる部分まで引き取っていないだろうか。
反対に、育成を意識するあまり、必要な判断や対応が遅れていないだろうか。
部下へ任せた後、報連相を通じた確認を忘れていないだろうか。
自分が見ているものに気づくだけでも、これまで見えていなかったものが見えてくることがあります。
キャリアの成長も、一つの見方だけでは分からない
キャリアコンサルタントとして人の成長を考えるときにも、一つの見方だけで判断しないことが大切だと感じています。
目標を達成できなかった。
仕事で失敗した。
期待された役割を十分に果たせなかった。
結果だけを見れば、不足している部分が見えます。
一方で、その経験の中で本人が何を考え、どのように立て直そうとしたのかを見ると、成長の過程が見える場合があります。
もちろん、努力していれば結果を問わなくてよいということではありません。
仕事では成果を求められます。
トラブルが起きれば、解決しなければなりません。
ただ、その過程で本人が何を学び、次に何を変えようとしているのかを見ることも、マネージャーの役割です。
成果を見る。
部下の成長を見る。
一人ひとりを見る。
お客様やチーム全体への影響を見る。
複数の視点を持つことで、その人や出来事を少し広く捉えられるようになるのだと思います。
まとめ
マネージャーは、成果を出すために問題や課題を見つける仕事をしています。
そのため、問題や不足へ目が向くのは自然なことです。
問題を見ることは、成果を出すために欠かせません。
トラブルが起きたときには、問題解決を最優先にして、スピードを持って対応する必要があります。
ただし、問題解決を最優先にすることと、マネージャーが一人ですべての答えを出すことは同じではありません。
まず、部下から状況を聞く。
マネージャーとして目指す着地点を伝える。
その着地点について、部下の意見を聞く。
着地点へ至るための打ち手を一緒に考える。
必要であれば、上司としての立場や経験を使って前に出る。
実行後は、お互いに報告、連絡、相談を続ける。
打ち手が実行できているか、着地点を変更する必要はないかを確認する。
この流れによって、問題解決と部下育成を同時に進めることができます。
同じ出来事でも、成果の視点から見れば、影響や必要な対応が見えます。
育成の視点から見れば、本人に考えてもらうことや、経験してもらうことが見えてきます。
どちらか一方を選ぶのではありません。
部下を育成しながら成果を上げる。
部下を育成しながらトラブルを解決する。
そのために、今この場面で何を見る必要があるのかを選ぶ。
それが、マネージャーに求められる物の見方ではないでしょうか。
皆さんは今、職場で起きている出来事を、どの視点から見ているでしょうか。
別の視点から見たとき、これまで気づかなかったものが見えてこないでしょうか。
一度、日頃のマネジメントを振り返ってみてはいかがでしょうか。
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