環境の中にある「このくらいが当たり前」が、人の行動を変えていく
ブログ記事のポイント
- 人は環境から影響を受けますが、環境にいるだけで成長するとは限りません
- 人の行動に影響するのは、その環境で共有されている「当たり前の基準」です
- 高いレベルの環境に触れると、自分が普通だと思っていた基準が変わります
- 「頑張ろう」という言葉より、具体的な行動を基準として示すことが大切です
- マネージャーの言葉と行動の積み重ねが、チームの空気をつくります
こんにちは。
キャリアコンサルタントのみってるです。
今日は、
「人は環境で変わるのか、それとも基準で変わるのか?」
というテーマで考えてみます。
これまで、職場の空気やチームの当たり前について書いてきました。
失敗を隠すチームと、隠さないチーム。
困ったときに早く相談するチームと、できるだけ自分で何とかしてから報告するチーム。
同じ会社や同じ部門であっても、チームによって行動には違いがあります。
その違いは、どこから生まれるのでしょうか。
私は以前から、
「環境が人を育てる」
という考え方に共感していました。
しかし、経験を振り返る中で、少し考え方が変わってきました。
人を育てるのは、単にその人が置かれている環境ではありません。
その環境の中にある、
「このくらいはできて当たり前だよね」
という基準が、人の行動に影響しているのではないかと思うようになりました。
環境にいるだけで、人が変わるとは限らない
成長できる環境に身を置けば、人は自然に成長する。
そのように考えることがあります。
もちろん、周囲から受ける影響は大きいと思います。
仕事のできる人が近くにいる。
相談できる上司や先輩がいる。
新しい仕事へ挑戦する機会がある。
必要な知識を学べる。
こうした環境は、成長を支える力になります。
ただし、同じ職場で働いていても、すべての人が同じように成長するわけではありません。
その環境で、何が求められているのか。
どの程度まで取り組めばよいのか。
どのような行動が周囲から認められるのか。
それが分からなければ、本人は自分なりの基準で仕事をすることになります。
環境があるだけでは、行動はそろいません。
その環境の中で共有されている基準が、人の行動を変えていくのだと思います。
全国大会を目指すチームには、違う当たり前がある
スポーツを例にすると、基準の違いが分かりやすいかもしれません。
全国大会を目指すチームと、地域大会への出場を目標にするチームでは、練習内容や練習量が違います。
もちろん、集まっている選手の経験や能力にも違いがあるでしょう。
しかし、それだけではないと思います。
準備をどこまで行うのか。
一つひとつの動きを、どこまで細かく確認するのか。
練習後に、どの程度振り返るのか。
体調管理や食事に、どこまで気を配るのか。
チームによって、
「このくらい取り組むのが普通だ」
という基準が違います。
外から見ると、とても厳しい練習に見えるかもしれません。
しかし、そのチームの選手にとっては、全国大会を目指すために必要な、普段の行動なのかもしれません。
目指す場所が違えば、日頃の行動に求める基準も変わります。
高いレベルに触れると、自分の普通が変わる
日本のトップ選手が、海外へトレーニングに行くことがあります。
新しい技術や練習方法を学ぶことも、大切な目的でしょう。
それと同時に、世界のトップ選手が、
どのような準備をしているのか。
どのような意識で練習へ入るのか。
一つひとつの動きに、どこまでこだわっているのか。
練習以外の時間を、どのように使っているのか。
その当たり前を実際に見ることにも意味があると思います。
自分では十分に取り組んでいるつもりだった。
しかし、高いレベルの環境へ行くと、それまで特別だと思っていたことが、周囲では普通に行われている。
その違いに気づくことで、自分の中にあった基準が変わります。
これはスポーツに限った話ではありません。
職場でも、周囲が当たり前のように早く動いていれば、自分も早く動くようになります。
お客様からの相談へ丁寧に対応する人が多ければ、自分も対応の質を意識するようになります。
失敗を隠さずに共有する人が多ければ、早く報告することへの抵抗も少なくなります。
人は周囲の行動を見ながら、
「ここでは、このように仕事をするのだ」
と学んでいるのだと思います。
営業チームで共有していた二つの基準
私は営業の仕事をしていた頃、チームで目指したいことについて繰り返し話していました。
その一つが、
「お客様から、まず最初に相談される営業マンになろう」
ということでした。
お客様が何かに困ったときに、最初に思い出してもらえる。
新しいことを始めようとしたときに、まず意見を聞いてみようと思ってもらえる。
そのような営業担当者を目指していました。
もう一つは、
「トップレベルの情報提供ができるようになろう」
ということです。
この二つの基準があると、毎日の仕事で考えることが変わります。
今日、お客様へ何を伝えればよいのか。
この情報だけで、本当に十分なのか。
相手が困っていることを、きちんと聞けているのか。
次も相談したいと思ってもらえる対応ができたのか。
単に訪問したか、資料を渡したかというだけではなく、仕事の質を振り返るようになります。
「売上を上げよう」と伝えるだけでは、具体的な行動は人によって変わります。
しかし、目指す基準があれば、自分の行動がその基準に近づいているかを考えられます。
同じ会社でも、チームによって当たり前は違う
私は同じ会社、同じ部門で働きながら、チームによって当たり前が違うことも経験しました。
何かあれば、すぐに報告するチームがあります。
一方で、問題が起きても、まずは自分で何とかしてから報告しようとするチームもあります。
どちらが正しい、間違っているという単純な話ではありません。
自分で考えて対応することが必要な場面もあります。
しかし、早く共有しなかったことで、問題が大きくなる可能性もあります。
大切なのは、
「このチームでは、何が起きたときに、どのように行動するのか」
という基準が共有されているかどうかです。
周囲の人がすぐに報告し、報告を受けた人が一緒に対応を考えている。
その経験が続けば、早く報告することが普通になります。
反対に、報告した人が強く責められているのを見れば、
「自分は、できるだけ報告しないで済むようにしよう」
と考えるかもしれません。
人は、規則や方針だけでなく、実際に周囲で起きていることから職場の基準を学びます。
「もっと頑張ろう」だけでは行動は決まらない
マネージャーは、チームの状況を変えようとして、
「もっと頑張ろう」
「意識を高く持とう」
と伝えることがあります。
その気持ちは必要だと思います。
しかし、この言葉だけでは、具体的にどのような行動を取ればよいのかが分かりません。
訪問件数を増やすのか。
一件ごとの準備を丁寧にするのか。
相談を早くするのか。
お客様への返事を早くするのか。
同じ言葉を聞いても、人によって考えることは違います。
だからこそ、気持ちや意識だけではなく、行動として基準を示す必要があります。
例えば、
「問題が起きたら、まず状況を共有する」
「お客様から相談を受けたら、24時間以内に一度返事をする」
「困ったときには、一人で抱え込まずに相談する」
というように、日常の仕事で何をすればよいのかを言葉にします。
具体的な行動が示されれば、メンバーも自分の仕事を振り返りやすくなります。
基準は、言葉にして実践することで空気になる
マネージャーが基準を一度伝えれば、すぐにチームの行動が変わるわけではありません。
言葉で伝える。
マネージャー自身が実践する。
メンバーが実行したときに、その行動を認める。
うまくいかなかったときには、一緒に振り返る。
必要であれば、もう一度基準を確認する。
この積み重ねが必要です。
「困ったら相談してください」と伝えながら、相談されたときに嫌な顔をすれば、相談は減っていきます。
「失敗は早く報告してください」と伝えながら、報告した人を最初から責めれば、次から報告は遅くなるかもしれません。
メンバーは、マネージャーが何を言ったかだけでなく、実際にどのような対応をしたかを見ています。
言葉と行動が一致し、同じ対応が繰り返されることで、
「このチームでは、これが当たり前だ」
という空気がつくられていきます。
キャリアの成長を考えるときにも環境の基準を見る
キャリアコンサルタントとして人の成長を考えるときにも、本人の意欲や能力だけで判断しないことが大切だと感じています。
自分から相談しない人がいる。
新しいことへ挑戦しない人がいる。
失敗を報告するのが遅い人がいる。
そのような行動を見たときに、本人だけの問題だと考えることがあります。
しかし、その職場では相談したときに、どのような反応が返ってくるのでしょうか。
挑戦して失敗した人は、どのように扱われているのでしょうか。
早く報告した人は、その行動を認められているのでしょうか。
本人の行動は、その人が置かれている環境の基準から影響を受けています。
人を育てようとするなら、本人へ働きかけるだけでなく、その人が働いている環境で何が当たり前になっているかを見る必要があります。
まとめ
人は環境から大きな影響を受けます。
ただし、環境に身を置くだけで、自然に成長するとは限りません。
大切なのは、その環境の中で、
「どのように行動するのが普通なのか」
「どの程度まで取り組むことが求められているのか」
という基準です。
全国大会を目指すチームには、それに合った練習の基準があります。
高いレベルの環境へ行けば、それまで特別だと思っていたことが、そこでは普通に行われていると気づきます。
職場も同じです。
まず相談する。
早く報告する。
お客様への対応を後回しにしない。
一人で抱え込まない。
こうした行動が繰り返されることで、チームの当たり前がつくられます。
マネージャーには、どのような行動を当たり前にしたいのかを言葉にし、自分も実践する役割があります。
その基準をチーム全員で繰り返すことによって、少しずつ職場の空気が変わっていくのだと思います。
皆さんの職場では、どのような行動が当たり前になっているでしょうか。
そして、その当たり前は、チームと一人ひとりの成長を支えるものになっているでしょうか。
一度、日頃の仕事を振り返ってみてはいかがでしょうか。
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