ブログ記事のポイント
- 部下に任せることは、その後何も確認しないことではありません
- 進捗は確認しても、すぐに上司の答えを伝えないことが大切です
- 日常の短い会話から、チーム内の情報交換が始まることがあります
- 一人の困りごとを共有すると、チームで考えられる問題に変わります
- 最終的に目指したいのは、上司が細かく指示しなくても仕事が前に進むチームです
ここ数日、部下に考えてもらうことについてお伝えしてきました。
答えが分かっていても、なぜ部下に聞くのか。
部下から返ってきた答えが、自分の考えと違っていたらどうするのか。
私は、部下の考え方や進め方に大きな違和感がなければ、まずは本人の考えた方法でやってもらうことが大切だと考えています。
では、部下に任せた後、上司はどのように関わればよいのでしょうか。
今回は、部下を育てるために、上司はどこまで口を出すのかについて考えます。
任せた後は口を出さないほうがよいのか
部下に仕事を任せると決めたら、後は本人の自由にさせる。
上司は口を出さず、結果が出るまで待つ。
「任せる」という言葉から、そのような関わり方を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、私がマネージャーとして行っていたことは、少し違います。
部下に任せた後も、進捗は確認していました。
「この前の件、どうなった?」
「あの話は進んでいる?」
そのような短い問いかけです。
ただし、確認した後に、
「次はこれをやって」
「このような順番で進めて」
と、毎回細かなやり方まで指示していたわけではありません。
問題なく進んでいるのであれば見守る。
困っているのであれば、何に困っているのかを聞く。
必要なときには支援する。
そのような関わり方を意識していました。
進捗確認と細かな指示は違う
上司が進捗を確認すると、部下からは「任せると言ったのに、結局口を出される」と受け取られることがあります。
これは、進捗を確認すること自体が問題なのではありません。
確認した後、上司がすぐに自分の答えを伝えたり、細かな進め方を指示したりすることが続くと、部下は任されていると感じにくくなります。
部下の話を聞く前に、上司が答えを出してしまえば、部下が考える機会は少なくなります。
そのため、まずは今の状況を聞くことが大切です。
どこまで進んでいるのか。
何がうまくいっているのか。
どこで迷っているのか。
本人は次に何をしようと考えているのか。
これらを確認したうえで、順調なら見守ります。
支援が必要なら、本人が困っている部分を一緒に考えます。
進捗確認の目的は、上司の方法どおりに動かすことではありません。
部下が自分で仕事を前へ進められる状態かどうかを確かめることです。
日常の短い会話から情報交換が始まる
営業マネージャーをしていた頃を振り返ると、部下の進捗を確認する場は、特別な面談や会議だけではありませんでした。
営業から帰ってきた部下と、普段からいろいろな話をしていました。
「今日、どうだった?」
「この前の件、どうなった?」
そのような日常の短い会話です。
部下から「うまくいきました」という話が出れば、
「うまくいったんだね。よかったね」
というところから会話が始まります。
すると、その話を近くにいるメンバーも聞いています。
例えば、部下から、
「〇〇さんにもらったアドバイスをやってみました」
という話が出たとします。
アドバイスした本人が、
「どうだった?」
と聞きます。
「やってみたら、こんな反応でした」
と結果が返ってきます。
すると、周りにいた別のメンバーも会話に加わります。
「それなら、こういう方法もあるかもしれないね」
「自分の担当先では、こんなことがあったよ」
このようにして、自然な情報交換が始まることがありました。
誰がどのような経験を持っているのかが共有される
今振り返ると、これはとても興味深い状態だったと思います。
私が一人ひとりに、
「〇〇さんに聞いてみたら?」
「この人が詳しいから相談してみたら?」
と、すべて指示していたわけではありません。
普段の会話や会議を通じて、チームの中に少しずつ情報が蓄積されていました。
誰が何に取り組んでいるのか。
誰が何に困っているのか。
誰がどのような経験を持っているのか。
そのようなことが共有されると、メンバー同士で声をかけやすくなります。
「あの件、どうなった?」
「前に似た経験をしたから、参考になるかもしれないよ」
「あのアドバイスを試したら、うまくいきました」
マネージャーが間に入らなくても、このような会話が生まれるようになります。
一人が持っていた経験が別のメンバーに伝わり、次の行動に活かされていきます。
一人の困りごとをチームで考える
部下が困っているとき、マネージャーがすぐに答えを出せば、問題は早く解決するかもしれません。
しかし、そこで少し立ち止まり、チームに共有すると、一人が抱えていた問題をチームで考えられるようになります。
誰かが同じような経験をしているかもしれません。
別の担当先で試した方法が、ヒントになるかもしれません。
一人では思いつかなかった見方が、ほかのメンバーから出てくるかもしれません。
マネージャーの答えだけで解決するのではなく、メンバーが知恵を出し合って次の行動を考える。
この経験は、問題を抱えていた本人だけでなく、話し合いに加わったメンバーの成長にもつながります。
直接その問題を担当していない人も、「自分だったらどうするだろう」と考えられるからです。
任せることと放任することは違う
部下に任せることと、放任することは違います。
何も確認しない。
何も聞かない。
問題が起きても、「本人に任せているから」と関わらない。
これでは、部下を育てるために任せているとはいえません。
私が大切だと思うのは、必要な進捗確認をすることです。
ただし、すぐに上司の答えを出さない。
困っていることがあれば話を聞き、必要に応じて支援する。
そして、ほかのメンバーの経験が役立ちそうなら、チームで共有する。
最初は、マネージャーがきっかけをつくる必要があるかもしれません。
「あの件、どうなった?」
その一言から会話が始まります。
それを続けるうちに、メンバー同士でも同じような声かけが生まれるようになります。
上司が答えを出さなくても前に進むチームへ
誰かが困っていれば、別の誰かが自分の経験を話す。
アドバイスを受けて実行したら、「やってみました」と結果を返す。
うまくいけば、「よかったね」と声をかける。
思ったような結果が出なければ、別の方法を一緒に考える。
このような状態になると、マネージャーが細かく口を出す必要は少なくなっていきます。
これは、マネージャーが手を抜いているのではありません。
上司がすべての答えを出さなくても、チームの中で答えを探し、仕事を前に進められる状態をつくっているのです。
部下を育てるというと、上司が一対一で教える場面を思い浮かべることがあります。
しかし、部下が周囲の経験から学び、自分の経験も周囲へ伝えられるチームをつくることも、大切な人材育成だと思います。
まとめ
部下を育てるために、上司はどこまで口を出すのか。
私の答えは、進捗は確認する、必要なときには支援する、しかし、すぐに自分の答えを出さない、ということです。
部下に任せるとは、何も聞かずに放っておくことではありません。
仕事がどこまで進んでいるのかを確認し、本人の考えを聞き、必要なときに支えることです。
そして、最終的に目指したいのは、上司が細かく口を出さなくても、メンバー同士で考え、助け合い、仕事が前に進んでいくチームです。
まずは、部下が取り組んでいる仕事について、
「あの件、どうなった?」
と聞いてみてはいかがでしょうか。
その後、すぐに答えを伝えるのではなく、本人がどのように考えているのかを聞いてみてください。
その短い会話が、部下の成長だけでなく、チームの中に新しい対話を生み出すきっかけになるかもしれません。
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