優秀な人が集まれば、強いチームになるのか?一体感に「個の違いを生かす視点」を加えるマネジメント

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マネジメント

プロバスケットボールの試合を観戦したときのことです。対戦カードは、神戸ストークスと千葉ジェッツでした。

私は地元の神戸ストークスではなく、千葉ジェッツの選手に興味を持って会場へ向かいました。なぜなら、千葉ジェッツには日本代表として国際大会に出場した経験のある選手が複数在籍していたからです。実際にコートでの動きを目にすると、バスケットボールの素人である私が見ても「すごい」と感じるプレーがありました。

ところが、この日の試合に勝ったのは神戸ストークスでした。

もちろん、バスケットボールは5人でプレーする競技です。国際大会を経験した優秀な選手がいるからといって、必ず勝てるわけではありません。勝敗にはさまざまな要素が関わっており、素人の私がその原因を断定することはできません。

ただ、試合の帰り道に妻と感想を話して盛り上がり、そのまま立ち寄った飲食店で料理を待っているあいだ、私はあることを考えていました。バスケットボールの経験者である妻は、試合中に気になった選手がいたようで、スマートフォンで選手の情報を調べていました。その横で私は、「今日の試合で感じたことは、会社の組織や仕事にも通じるのではないか」とふと思ったのです。

それは、「優秀な選手が何人もいても、必ずしも試合に勝てるわけではない。会社でも同じではないだろうか」という問いでした。

営業マネージャー時代に大切にしていた「足並みをそろえる」という考え方

会社という組織においても、個人の能力が高いメンバーが集まっているからといって、それだけで強いチームになり、高い成果が出せるとは限りません。では、チームとして成果を出すためには何が必要なのでしょうか。

私が営業組織のマネージャーをしていた頃、大切にしていたのは「チームとして足並みをそろえること」でした。

全員が同じ目標に向かって活動する。組織としての一体感を持つ。そのまとまりこそが、最終的にチームの成果につながると考えていたのです。目標を明確に共有し、チーム全員で同じ方向を向いて必要な活動をやり切ることは、組織を動かすうえで非常に重要な土台になります。

そのため、当時私が「足並みをそろえること」や「一体感を持つこと」を重視していたこと自体は、今でも間違っていたとは思っていません。チームがバラバラの方向を向いていては、組織としての力は発揮できないからです。

ただ、当時のやり方を振り返りながら、今の私ならそこにもう一つ新しい視点を加えたいと感じています。それが、「一人ひとりの違いをどう生かすか」という視点です。

「同じ目標を目指すこと」と「全員が同じように行動すること」の違い

再びバスケットボールに目を向けてみると、コートに立つ5人の選手は、全員が同じ役割を担っているわけではありません。選手ごとに得意なプレーも違えば、コート上で求められる動きも異なります。それぞれが自分の役割を果たしながら、チームとして「勝利」という一つの目標を目指しています。

これは、会社のチーム運営でも同じではないでしょうか。

ここで整理しておきたいのは、「チームとして同じ目標を目指すこと」と「全員が同じように行動すること」は、必ずしも同じではないという点です。

一体感を大切にするあまり、「全員が同じペースで、同じやり方で動くこと」まで求めてしまうと、かえって一人ひとりの良さが消えてしまうことがあります。もちろん、これは「各自が勝手バラバラに行動してよい」という意味ではありません。チームとして共有した目標に向かい、必要な活動を実行することは大前提です。

その大前提を守ったうえで、目標に至るまでのアプローチや、業務への向き合い方においては、一人ひとりの違いや特性を踏まえた関わり方があってもよいのではないかと思うのです。

部下の状態によって異なる「力の生かし方」

たとえば、部下に何か新しい活動を任せたとします。このとき、メンバー全員が同じ反応をするわけではありません。

指示を受けてすぐに動き出せる人もいれば、行動に移す前に少し自分で考える時間が必要な人もいます。また、上司と言葉を交わし、対話を重ねることで、ようやく自分なりの進め方を見つける人もいます。

こうした違いがあるなかで、マネージャーが「全員の足並みをそろえること」だけを優先してしまうとどうなるでしょうか。すぐに動ける人のペースに全員を合わせようとすれば、考える時間が必要な人や、対話を通じて進め方を見つける人の違いを、十分に生かせないこともあると思います。

少し立ち止まって考える時間が必要な部下には、考える余白を渡す。話すことで整理できる部下には、対話の時間をとる。そうやって一人ひとりの状態を見ながら関わり方を変えていくことが、結果としてチーム全体の力を引き出すことにつながります。

緊急時ではない日常業務こそ、部下を育てる機会になる

以前、「マネージャーが答えを出したほうが速い。でも、それでいいのか」というテーマについて考えたことがあります。

仕事の現場において、一刻を争うような緊急事態であれば、上司が素早く判断し、明確な指示を出して全員を一斉に動かす必要があります。しかし、私たちが日々向き合っている日常業務のすべてが、そうした緊急事態というわけではありません。

緊急ではない場面であれば、マネージャーが先回りして答えを出したり、全員を同じ型にはめて動かしたりしなくてもよいはずです。少し時間を使って、本人がどう考えているのかを聞く。まずは自分で進め方を考えてもらう。そして、その人の今の状態に合わせて関わり方を調整する。そうした日常業務のなかでの丁寧なやり取りこそが、部下一人ひとりを育てる大切な機会になります。

私は、チームとして成果を出すことと、部下一人ひとりを育てることは、どちらか一方を選ぶものではなく、どちらも大切なことだと思っています。

チームの目標をしっかりと共有する。達成に向けて必要な活動は確実に実行する。その確固たる土台の上で、メンバー一人ひとりの能力やその時々の状態に目を配り、それぞれが自分の力を十分に発揮できるように関わっていく。

全員で同じ方向を向くという「一体感」を大切にしながら、同時に「一人ひとりの違い」も生かしていくこと。それもまた、チームを率いる指導者に求められる大切な役割ではないでしょうか。

皆さんのチームでは、いまどのような関わり方ができているでしょうか。全員が同じ目標に向かう一体感を保ちつつ、メンバーそれぞれの違いを生かす余地があるかどうか、日々の業務を振り返るきっかけにしていただければ幸いです。


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