強みを使って得た小さな手応えが、自分で考える力を育てる
ブログ記事のポイント
- 課題解決の視点で部下を見ると、足りない部分へ目が向きやすくなります
- 仕事の基本や守るべきルールは、若いうちに身につける必要があります
- 若手が当たり前にできていることの中に、本人も気づいていない強みがあります
- 強みを具体的な言葉で伝え、仕事で使う機会をつくることが大切です
- 強みを使って得た小さな成果が、自信と次の挑戦につながります
こんにちは。
キャリアコンサルタントのみってるです。
今日は、
「若手の育成は、強みを伸ばすことから始める」
というテーマで考えてみます。
昨日は、成果を見る視点はマネージャーの土台だという話を書きました。
マネージャーは成果を確認し、問題があれば、その問題を解決するために取り組む課題を考えます。
この課題解決の視点は、チームを前へ進めるために欠かせません。
ただし、この視点をそのまま部下育成に使うと、少し注意が必要です。
部下を見たときにも、
「この人には何が足りないのか」
「どこを改善する必要があるのか」
「求められる水準と、どのくらい差があるのか」
という見方になりやすいからです。
課題解決の視点では、足りない部分が見えやすい
私はマネージャーとして部下を育成するとき、一人ひとりの強みと弱みを考えていました。
弱い部分を見つけると、
「ここをもう少し伸ばす必要がある」
「この力が身につけば、もっと活躍できる」
と考えていました。
この考え方が間違っているわけではありません。
会社のルールを守る。
仕事の基本を身につける。
お客様や周囲へ大きな影響を与える行動を見直す。
報告や連絡を適切に行う。
仕事をするうえで欠かせないことは、若いうちに身につける必要があります。
弱みを見てはいけないという話ではありません。
必要な知識や技能が不足しているのであれば、教えることもマネージャーの役割です。
ただ、課題解決の視点だけで部下を見ていると、本人のできていないことばかりが目に入る可能性があります。
できていることは「大丈夫」で終わってしまう
振り返ってみると、私は部下のできていることについて、
「ここはできているから大丈夫」
と考え、それ以上見なくなることがありました。
一方で、できていないことや、社内の平均的な水準よりも弱い部分には、自然と目が向きます。
改善する必要があるからです。
その結果、部下育成が、
「弱い部分を見つけ、社内の平均的な水準まで引き上げること」
に偏る場合があります。
一つの弱みが改善すると、次の弱みを探す。
そこが改善すると、さらに別の不足しているところを見る。
これを繰り返していると、マネージャーは育成しているつもりでも、部下には、
「自分は、まだ足りない」
「もっとできるようにならなければいけない」
という受け止め方だけが残るかもしれません。
特に、仕事の経験が少ない若手社員は、自分の仕事にまだ十分な自信を持てていないことがあります。
その時期から、弱みの補強だけを育成の中心にしてよいのでしょうか。
若手の時期には、まず強みを見つける
私はある時期から、若手社員には、まず強みを伸ばし、自信をつけてもらうことが大切ではないかと考えるようになりました。
例えば、人前で説明することはまだ苦手でも、相手の話を丁寧に聞ける人がいます。
行動量は多くなくても、一つひとつの仕事を丁寧に進められる人もいます。
会議であまり発言しなくても、周囲の状況をよく見て、必要なときに人を支えられる人もいます。
分からないことを、そのままにせず確認できる。
新しい情報を素直に吸収できる。
決めたことを、最後まで粘り強く続けられる。
こうした力も、本人がすでに持っている強みです。
すべての人が、同じ方法で成果を出す必要はありません。
人の話を聞く力を使って成果につなげる人もいれば、丁寧な準備によって信頼を得る人もいます。
周囲へ自然に声をかけ、チームの動きを良くする人もいます。
育成では、その人がすでに持っている力にも目を向ける必要があります。
本人にとって当たり前の行動が、強みかもしれない
強みは、本人が自覚しているとは限りません。
本人にとっては、特に意識せずにできていることだからです。
相手の話を最後まで聞く。
必要な情報を細かく確認する。
困っている人に自然に声をかける。
約束した期限をきちんと守る。
本人は、
「普通に仕事をしただけです」
と思っているかもしれません。
しかし、その行動によって、お客様から必要な情報を聞き出せた。
次の提案につながる手がかりを見つけられた。
仕事の抜けや漏れを防ぐことができた。
チームのメンバーが助かった。
そのような結果が生まれているのであれば、その行動は本人の強みとして仕事に生かせる可能性があります。
マネージャーには、本人が当たり前だと思っている行動と、そこから生まれた成果をつなげて見る視点が必要です。
強みは、具体的な言葉で伝える
マネージャーが強みに気づいても、心の中で、
「この人は、ここが良い」
と思っているだけでは、本人には伝わりません。
本人に分かる言葉で伝えることが大切です。
「相手の話を丁寧に聞けていましたね」
「必要な情報をよく確認していたから、次の提案につながりましたね」
「周りの状況を見て動いてくれたから、チームが助かりました」
このように、実際の行動と、その行動がどのような結果につながったのかを具体的に伝えます。
単に、
「よく頑張ったね」
「あなたの強みですね」
と伝えるだけでは、本人は何が評価されたのか分からないことがあります。
どの行動が良かったのか。
その行動が、どのような成果につながったのか。
そこまで伝えることで、本人は初めて、
「自分のこの行動は、仕事で役に立つのかもしれない」
と気づくことができます。
強みを仕事で使う機会をつくる
強みに気づいてもらったら、その強みを別の仕事でも使える機会をつくります。
人の話を丁寧に聞ける人であれば、お客様の状況や困りごとを確認する場面で、その力を使ってもらう。
情報を細かく確認できる人であれば、必要な情報を整理し、チームへ共有する仕事を任せてみる。
周囲の状況を見て動ける人であれば、メンバー同士の連携が必要な仕事で、その力を発揮してもらう。
最初から大きな成果を求める必要はありません。
本人が持っている力を使って行動する。
その行動から、小さくても手応えを得る。
そして、
「なぜ、今回うまくいったのだろう」
と一緒に振り返る。
その中で本人が、
「相手の話を丁寧に聞いたことが、次の提案につながった」
「事前に確認したことが、仕事を円滑に進めることにつながった」
と理解できれば、強みを意識して使えるようになります。
強みは、伝えるだけで育つものではありません。
仕事で使い、結果と結びつけることで、本人の力になっていくのだと思います。
小さな手応えが、自分で考える土台になる
自分の強みを使って行動し、小さくても成果を得られれば、自信につながります。
ここでいう自信とは、
「自分なら何でもできる」
と思うことではありません。
「自分のこの力は、仕事で使える」
「自分なりに考えて動いてもよい」
と思えることです。
この感覚があれば、
「次は少し違う方法を試してみよう」
「今度は、自分で考えてやってみよう」
という気持ちが生まれます。
自分で考えて行動する力は、
「もっと自分で考えなさい」
と伝えるだけでは育ちません。
自分で考えたことを試し、何らかの手応えを得る経験が必要です。
反対に、若手の時期から弱い部分ばかりを指摘されていると、
「失敗しないようにしなければならない」
「動く前に、上司の正解を確認したほうがよい」
と考えるようになるかもしれません。
強みを認められ、その強みを使って成果を出した経験があれば、
「自分なりに考えてみよう」
「まずはやってみよう」
と思いやすくなります。
強みを使って得た小さな手応えが、次の挑戦や、自分で考える力の土台になるのです。
育成は、平均的な社員へ近づけることだけではない
育成とは、部下を社内の平均的な社員へ近づけることだけではありません。
仕事に必要な基本を身につけてもらう。
守るべきルールを理解してもらう。
周囲へ大きな影響を与える弱みがあれば、改善してもらう。
こうしたことは必要です。
同時に、その人がすでに持っている力を見つけ、仕事の中で生かせるようにすることも育成です。
課題解決の視点で見れば、足りない部分が見えてきます。
育成の視点で見れば、今ある強みと、これから伸びる可能性が見えてきます。
どちらか一方だけが正しいということではありません。
大切なのは、部下の経験や成長段階に合わせて、何を見るのかを変えることです。
キャリアコンサルタントとして人の成長を考えるときにも、その人に足りないものだけでなく、すでに持っている力を見ることが大切だと感じています。
本人が自分の強みに気づき、それを仕事の中で使えるようになれば、その後のキャリアを考える手がかりにもなります。
まとめ
課題解決の視点は、チームを前へ進めるために必要です。
しかし、その視点をそのまま部下育成に使うと、部下のできていないことや、足りない部分ばかりが見えることがあります。
もちろん、仕事の基本や会社のルールなど、若いうちに身につける必要があることは、きちんと伝えなければなりません。
弱みを見ないということではありません。
ただ、若手の時期には、本人がすでに持っている強みを見つけ、その強みを使って成果を出す経験も大切にしたいと思います。
相手の話を丁寧に聞ける。
一つひとつの仕事を丁寧に進められる。
周囲の状況を見て、必要なときに人を支えられる。
こうした本人にとって当たり前の行動が、仕事に生かせる強みかもしれません。
マネージャーがその行動を具体的な言葉で伝える。
強みを別の仕事でも使える機会をつくる。
小さな成果が生まれたら、なぜ成果につながったのかを一緒に振り返る。
その経験が本人の自信になり、次の挑戦や、自分で考えて行動する力につながります。
皆さんが育てている若手社員には、どのような強みがあるでしょうか。
そして、その強みを、本人が分かる具体的な言葉で伝えているでしょうか。
一度、部下のできていることを見つめ直してみてはいかがでしょうか。
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