新入社員とメンターの”双方の成長”を実現する研修設計のポイント

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マネジメント経験の中で、人材育成に関する話題は常に上司や同僚との重要な対話テーマでした。
特に印象に残っているのは、ある部門長との会話です。

「新人研修って、教える側の成長にもなるんだよな。でも、それを意図的に仕組みに組み込んでいる会社は少ないんじゃないか」

この言葉がきっかけとなり、私自身、チームでの人材育成において「双方の成長」を意識するようになりました。
今回は、33年の会社員生活と14年のマネジメント経験から得た、新入社員とメンターの相互成長を促す研修設計のポイントについてお伝えします。

なぜ”双方の成長”が重要なのか

私がマネジメントをしていた頃、あるメンターから興味深い報告を受けました。「新人に教えることで、自分の業務の見直しができました」と。実は、これは非常に重要な気づきでした。

教えることは、単なる知識の伝達ではありません。
教える側も、下記を実施することで、メンター自身の成長機会に繋がります。

  • 自分の知識を整理し直す
  • 相手に分かりやすく説明する方法を考える
  • 質問に答えるために deeper な理解が必要になる

研修設計で意識したいポイント

「教える」を「共に考える」に変える

新人に一方的に教えるのではなく、「なぜそうするのか」「他の方法は考えられないか」を共に考えるスタイルを推奨します。これにより以下の効果が期待できます。

  • 新人は主体的に考える習慣が身につく
  • メンターは自身の業務をより深く理解できる

振り返りの場を構造化する

週次や月次で、新人とメンターが共に振り返る機会を設けます。
この振り返りを通じて、双方が学びを言語化し、次のアクションにつなげられます。

  • 何がうまくいったか
  • どこに課題があったか
  • 次のステップは何か

成功体験の共有を促す

指導上の課題だけでなく、成功体験も共有するよう促します。

  • 新人の成長につながった関わり方
  • メンター自身の気づき
  • 次のステップへの展望

具体的な実践方法

私のチームでは、以下のような取り組みを行っていました。

メンターとの情報交換

  • メンターと15-20分ほどの情報交換
  • 私が感じている課題、メンターが考えている課題を話し合い共有
  • メンターとの情報交換が密にできていることで、意識づけにもなり取り組みも期待できる

チーム員への共有

  • メンターだけでなく、他のメンバーにも情報共有することで自分事になる
  • メンター以外のメンバーにも気が付いたことなどはアドバイスをするよう働きかける
  • 指導した内容は共有することを徹底する

成長を確認する機会を面談の中で設定

  • 3ヶ月間の成長を振り返る
  • 次の3ヶ月の目標設定

成果を上げるためのポイント

小さな成功を見逃さない

  • 新人の些細な進歩も認識し、フィードバック
  • メンターの工夫や努力も評価
  • 成功体験を組織で共有

適度な課題設定を設定して、取り組みを進めることも良いですが、日常業務でも精一杯の状況になることが予想されます。
日常業務の難易度が調整できなくても、そこで教育をすることで効率的に育成できると思います。
難易度が高いものはサポートをすることでカバーします。

コミュニケーションの質を高める

  • オープンな対話の推奨
  • 建設的なフィードバック
  • 相互理解の促進

日常業務で難易度を調整することが難しいことには触れましたが、新入社員、メンターと情報交換をすることで、どの程度のサポートが必要化の判断はできます。
取り組み状況は注意深く見ておく必要があります。

マネジメントの役割

この「双方の成長」を実現するために、マネジメント層には以下の役割があります。

成長の機会を作る

  • 適切な課題の設定
  • 振り返りの場の確保
  • 成功体験の共有促進

サポート体制の整備

  • メンターへの指導・助言
  • 問題発生時の支援
  • リソースの確保

評価と承認

  • 両者の成長を適切に評価
  • 成果の可視化
  • 次のステップへの動機付け

まとめ:相乗効果を生む人材育成へ

新入社員とメンターの双方が成長できる環境を整えることは、組織全体の成長につながります。私自身、マネジメントの現場でこの相乗効果を何度も目にしてきました。

大切なのは、この「双方の成長」を偶発的な出来事ではなく、意図的に設計された仕組みとして確立することです。それにより、持続的な組織の成長が実現できるのだと確信しています。

研修担当の皆様には、ぜひこの視点を研修設計に取り入れていただければと思います。新入社員の成長とメンターの育成、この両輪がスムーズに回ることで、組織はより力強く前進していけるはずです。

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