企業内導入時のインフラの整備 学ぶ セルフ・キャリアドック

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セルフキャリアドック

前回はセルフ・キャリアドックを推進するために、計画の策定とどのような資料を準備するかについてふれました。

今回は、実際に推進するために環境を整える部分について、考えていきたいと思います。責任者はどのように決めるのか?推進するために、どのように環境を整えるか?いくつかのハードルがあると思われます。

準備を進めるための重要ポイントをまとめてます。

※厚労省ホームページで発信されている資料を参考にしています。

0000192530.pdf (mhlw.go.jp)

企業内インフラの整備で必要な視点は3つです

責任者を決める

セルフ・キャリアドックの推進に向けて、社内における責任者を指定します。この責任者は、キャリアコンサルタントを統括し、人材育成において社内に影響力を持つ立場にあります。したがって、人事部門に限定されることなく、幅広いポストから適任者を選定することが望ましいでしょう。また、セルフ・キャリアドックの実施組織(社内キャリアコンサルタントを含む担当者)を決定します。

社内規定の整備

社内規定の整備 セルフ・キャリアドックが職業能力開発促進法で規定された措置を果たすために、従業員に対して明確にする必要があります。そのために、セルフ・キャリアドックを企業内の制度として定め、セルフ・キャリアドックの方針や活動内容を明示する就業規則や社内通達を策定することが重要です。もし従業員数が少ない場合は、このような内容を直接従業員に伝える柔軟な手段も考えられます。

キャリアコンサルタントの育成・確保

セルフ・キャリアドックの中核的な取り組みは、対象従業員に対するキャリア研修と個別のキャリアコンサルティング面談、そしてその結果に対するフォローアップです。これを担うキャリアコンサルタントの育成・確保は不可欠です。

社内・社外のキャリアコンサルタントに共通する事項

キャリアコンサルタントには、社内キャリアコンサルタント(資格を保有する従業員)と社外キャリアコンサルタントの2種類があります。以下に両者に共通する事項と、社外コンサルタントに特有の事項を述べます。

共通事項:資質

キャリアコンサルタントは「キャリアコンサルタント国家資格」または「キャリアコンサルティング技能検定(1級・2級)」のいずれかの資格を保有している必要があります。資格を保有しない場合でも、人事部門での経験が豊富で従業員から信頼される者は、特定の条件下で社内キャリアコンサルタントの役割を果たすことができます。ただし、資格取得を目指して学習するよう促す必要があります。

共通事項:守秘義務

キャリアコンサルタントには守秘義務があり、面談内容や研修参加者の情報の取り扱いに注意する必要があります。

共通事項:質の向上

キャリアコンサルタントは定期的なスーパービジョンや勉強会に参加し、知識とスキルを向上させる努力が必要です。

社外コンサルタントに特有の事項:

経営目的や経営戦略を理解する

社外キャリアコンサルタントは企業の経営目的や人材育成戦略を理解し、人事部門との連携が求められます。人事担当者と社外コンサルタントは情報共有を密にしておく必要があります。

相談窓口と担当者を決めておく

問題が発生した場合、社外コンサルタントと企業との間で情報交換が円滑に行える体制を整備する必要があります。
そのために、対応窓口と担当者を決めておくことが必要になります。

情報共有のルール

キャリアコンサルタント面談の中で得られた情報を、人事部門及び関連部門との共有するルールを整備する必要があります。単に共有するだけでなく、教育訓練、人事管理諸制度にどのように反映させるかなども想定した準備をあらかじめ検討しておくことや対応策を実行することが望ましいです。

社内の意識情報をどのようにすすめるか?

セルフ・キャリアドックを定着させるためには、キャリア自律とその支援に関する組織風土の構築や組織内各層の従業員に対するキャリア自律意識の啓発が必要です。キャリアコンサルティング面談で得られた情報を人事部門や関連部門と共有するルールを整備し、情報を教育訓練や人事管理に反映させる準備を行います。

  1. 現場管理職の理解: セルフ・キャリアドックの目的や内容を管理職に伝え、彼らが対象従業員を支援するために協力するよう促します。また、管理職からの質問に対して適切に回答する準備を行います。
  2. 対象従業員の理解: 対象従業員に、現代のビジネス環境の変化に対応するためにはキャリア形成を積極的に行う必要があることを理解させます。
  1. 共通言語化 “キャリア”や”キャリア自律”といった用語は一般的にはまだ広く理解されていない場合があります。これらの概念を従業員全体が理解できるようにするために、繰り返し説明することが重要です。
  • “キャリア”とは: 長期にわたる経験と能力開発、人間的成長の連鎖を指す概念です。キャリアは個人の意思や適性、外部環境の影響を受けますが、現代の労働環境の変化において、個々の労働者が能力ややりがいを高め、職業生活を安定させ、生産性を向上させることがより重要になっています。
  • “キャリア自律”とは: 自らのキャリアビジョンを持ち、計画的かつ主体的に行動し、自己のキャリアを構築することです。社会や組織の変化に対応して能力開発に取り組み、自らのキャリアを充実させ、成長を促進するために、自己のビジョンやアクションプランを作成し、実行することが求められます。

このような共通言語化を行うことにより、従業員全体がセルフ・キャリアドックに対する理解を深め、積極的な参加を促すことができます。

セルフ・キャリアドックの成功には、組織内の整備とそれをサポートするルールや意識の醸成が欠かせません。適切なリーダーシップと明確な指針のもとで、従業員の成長と企業の発展に貢献するセルフ・キャリアドックの実施を進めていくことが重要です。

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