本番直前の面接練習では「できていること」に注目しよう
面接本番を控えての最後の練習では、つい修正点を伝えたくなるものです。でも、直前のタイミングでは「できていること」に目を向けてあげる方が、本人の自信を引き出し、本番で力を発揮しやすくなります。
今回は、先月参加した面接練習会での気づきをもとに、この大切さをお話しします。

面接練習会で得た気づき
先月、私は面接の練習会に書記として参加しました。ふだん私は、面接練習を行うときは入室から退室まで一通り実施し、まず良かったところを挙げ、そのあと修正すべき点や改善ポイントを伝える、という流れが多いです。
しかし今回の練習会では、講師の方の進め方が私のやり方と大きく違っていました。
講師のやり方は「できていること」に徹底フォーカス
その講師はまず、受講者に向けて「面接の部屋の入り方」などを口頭で丁寧に説明しました。具体的なポイントや流れを先に伝えてから、本番形式で面接を実施します。
そして終わった後のフィードバックでは、最初から最後まで「できている部分」だけを取り上げていました。
たとえば、
- 「さっき説明した姿勢、ちゃんとできていましたね」
- 「声のトーンも安定していて聞きやすかったです」
と、あらかじめ説明していたポイントに沿って、一つひとつ褒めていくのです。修正点や課題にはほとんど触れませんでした。
受講者の表情が変わる瞬間
フィードバックを受けた受講者は、「あ、自分のやり方でいいんだ」と確認できたようで、表情がぱっと明るくなりました。感想を聞くと「自信を持って本番に臨めそうです」という前向きな言葉が返ってきました。
この様子を見て、「本番直前は修正する場ではなく、自信を固める場にした方が良い」という思いが強くなりました。
本番直前は「心理的な準備」がカギ
面接本番の直前は、受験者にとって緊張のピークです。このタイミングで新しい修正点を伝えても、頭でわかっていても体にしみこまず、逆に不安が増してしまうこともあります。
だからこそ、本番直前は「できている部分を言葉で伝えて、自信を強化する時間」にすることが大切です。
心理的に「自分は大丈夫」という感覚を持てると、本番で落ち着いて力を出し切れます。
強みを具体的に言葉で伝える効果
もう一つ印象的だったのは、講師が具体的な言葉で褒めていたことです。
例えば「姿勢がまっすぐで安定感があります」「受け答えの間がちょうどよく、聞いていて安心感があります」などです。
これにより、受講者は自分が気づいていなかった強みにも意識を向けられます。特に姿勢や声のトーンといった非言語の要素は、自己評価では見落としがちなので、他者からの指摘で自覚できるのは大きな意味があります。

タイミングによって練習方法を変える
この経験から、私は面接練習はタイミングで目的を変えるべきだと考えるようになりました。
- 準備段階(本番までまだ余裕がある時期)
改善点や課題をしっかり指摘し、修正や練習を繰り返す - 本番直前(数日前〜前日)
できている部分に注目し、自信を高めるフィードバックに徹する
これによって、受講者は練習のたびに前向きな状態で次のステップに進めます。
キャリアコンサルタント視点での学び
キャリアコンサルタントの立場から見ても、これは面接対策だけでなく職場での指導にも応用できます。
部下や後輩への指導で、重要な場面の直前には「できている部分の再確認」を行うことで、本人の自己効力感(自分はできるという感覚)を高められます。
この自己効力感はパフォーマンスに直結します。本番で成果を出すためには、技術や知識だけでなく、この心理的な準備がとても大切です。

まとめ
今回の練習会で学んだことは、「直前の練習は修正よりも自信強化」ということです。
本番に向けて最高の状態で臨むために、あえて課題には触れず、できていることを具体的に伝える——それが本人の力を引き出す最善の方法かもしれません。
皆さんも、面接や大事なプレゼン、本番直前の場面で「できている部分を伝える」という方法を試してみてください。きっと相手の表情やパフォーマンスが変わってくるはずです。
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