治療と仕事の両立のためのサポート体制整備 両立支援ガイドライン

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セルフキャリアドック

両立支援を導入するために、企業内で環境整備が必要になります。前回に続き、環境整備について取り上げますが、社員教育など本格導入でポイントとなる部分があります。

ガイドラインの内容をまとめます。

※厚労省が発信している資料を参考にしています。

001088186.pdf (mhlw.go.jp)

両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)

事業所において、治療と仕事の両立支援を行うための環境整備として取り組むことが望ましい事項は下記のとおりです。

導入にあたり、厚労省が発信している資料を参考にする。あるいは、他社の導入方法や工夫の情報を収集するなどの活動の必要になると思われます。

事業者による基本方針等の表明と労働者への周知

衛生委員等で調査審議を行ったうえで、事業者として、治療と仕事の両立支援に取り組むにあたっての基本方針や具体的な対応方法等の事業場内ルールを作成します。

全ての労働者に周知することで、両立支援の必要性や意義を共有します。
目的は、治療と仕事の両立を実現しやすい職場風土を醸成することです。

研修等による両立支援に関する意識啓発

治療と仕事の両立支援を円滑に実施するために、当事者やその同僚となりえる全ての労働者、管理者が対象となります。
治療と仕事の両立に関する研修等を通じた意識啓発を実施します。

当然ですが、1回の研修で浸透させることは難しいことが考えられます。実施にあたり、工夫が求められます。

相談窓口の明確化

治療と仕事の両立支援は、労働安全衛生法に基づいています。

健康診断において把握した場合を除いては、労働者からの申出を原則とされています。そのことから、労働者が安心して相談・申出ができる状況を整えなければなりません。

相談窓口、申出が行われた場合の情報の取り扱いなどのルールを整備する必要があります。

わたしも企業に30年以上勤務していたので感じるのですが、問い合わせ先を明確にすることは当然のことですが、重要です。案内文章への掲示と共に、問い合わせ先一覧など複数のアクセスルートをつくることをお勧めします。

両立支援に関する制度・体制等の整備

● 休暇制度、勤務制度の整備

治療と仕事の両立支援においては、休暇制度や勤務制度の配慮が必要な場合があります。

  • 短時間だが、定期的に繰り返しの治療が必要なとき
  • 就業時間内で一定の制限が必要なとき
  • 通勤の負担軽減のために出勤時間をずらす必要があるとき

休暇制度

【時間単位の年次有給休暇】

労働基準法では、年次有給休暇は1日単位で与えることが原則とされています。労働協定を結ぶことで1時間単位で与えることが可能になります。
上限は1年で5日分までです。

【傷病休暇・病気休暇】

事業主が自主的に設ける法法定外の休暇です。
入院治療や通院のために、年次有給休暇とは別に休暇が付与されます。
取得条件や取得中の処遇(賃金の支払いの有無については)等は事業所ごとに異なります。

勤務制度

【時差出勤制度】

事業主が自主的に設ける勤務制度です。始業及び就業の時刻を変更することで負担軽減を目的としています。労働者は、身体に負担のかかる通勤時間を避けて通勤するといった対応が可能となります。

【短時間勤務制度】 

※育児、介護休業法に基づく短時間制度とは別のものです。
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、療養中・療養後の負担軽減を目的としています。
所定労働時間を短縮する制度です。

【在宅勤務(テレワーク)】

事業者が自主的に設ける勤務制度です。
パソコンなどの情報通信機器を活用した場所にとらわれない柔軟な働き方が可能になります。
自宅で勤務するで、通勤による身体への負担を軽減することが可能となります。

【試し出勤制度】

事業者が自主的に設ける勤務制度です。
長期間にわたり休業していた労働者に対し、円滑な復職を支援するために実施します。勤務時間や勤務日数を短縮した試し出勤等を推奨します。

復職や治療を受けながら就労することに不安を感じている労働者。受入れに不安を感じている職場の関係者。試し出勤制度があることで不安解消につながります。

円滑な就労に向けて具体的な準備を進めることが可能となります。

労働者から支援を求める申出があった場合の対応手順、関係者の役割の整理

労働者から支援を求める申出があった場合に円滑な対応ができるよう環境整備をすすめます。

労働者本人、人事労務担当者、上司・同僚等、産業医や保健師、看護師等の産業保健スタッフ等の関係者の役割と対応手順をあらかじめ整理しておきましょう。

関係者間の円滑な情報共有のための仕組みづくり

治療と仕事の両立のためには、労働者本人を中心にすすめます。
人事労務担当者、上司・同僚等、産業医や保健師、看護師等の産業保健スタッフ、主治医等が、本人の同意を得た上で支援のために必要な情報を共有し、連携することが重要です。

特に、就業継続の可否、必要な就業上の措置及び治療に対する配慮に関しては、慎重にすすめます。
治療の状況や心身の状態、就業の状況等を踏まえて主治医や産業医等の医師の意見を求めます。

その意見に基づいて対応を行う必要があります。

このため、医師に労働者の就業状況等に関する情報を適切に提供するための様式や、就業継続の可否、必要な就業上の措置及び治療に対する配慮について医師の意見を求めるための仕組みを整備しましょう。

両立支援に関する制度や体制の実効性の確保

治療と仕事の両立支援のための制度や体制を機能させるためには、日頃から全ての労働者に対して周知しておく必要があります。

制度、相談窓口の周知を行うとともに、管理職に対して、労働者からの申出、相談を受けた際の対応方法や、支援制度・体制について研修等は必須だと思われます。

労使等の協力

治療と仕事の両立に関して、制度・体制の整備等の環境整備に向けた検討を行う際には、衛生委員会等で調査審議するなど、労使や産業保健スタッフが連携し、取り組むことが重要です。

仕事と治療の両立支援 企業の環境整備のまとめ

私も経験がありますが、迷惑をかけたくないという性格の方は無理をしがちだと思います。
話し合いなども、相手の性格なども考慮して準備をしておいた方が良いと感じています。

  • 企業内で治療と仕事の両立支援のための環境整備が必要です。その準備として厚労省の資料や他社の導入事例を参考にできます。
  • 事業者は治療と仕事の両立に向けて基本方針を策定し、全労働者に周知します。
  • 労働者と管理者を対象にした研修を通じて、両立支援の意識を高める必要があります。
  • 労働者が安心して申出や相談ができるよう、相談窓口を設け、情報の取り扱いに関するルール整備が必要です。
  • 治療が必要な労働者に対して、時間単位の有給休暇、傷病休暇、時差出勤、短時間勤務、在宅勤務などの環境整備が必要です。
  • 長期間休業後の労働者を支援するために試し出勤制度を導入し、復職を円滑に進めるための制度作りも求められます。
  • 人事労務担当者、産業保健スタッフ、主治医などが連携し、必要な情報を共有する体制整備が必要です。
  • 両立支援の制度や体制の効果を確保するために、日頃からの周知と管理職の研修が重要です。
  • 両立支援の体制構築においては、労使や産業保健スタッフの連携が必要です。
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