変化する時代に自分のキャリアを描く方法:セルフ・キャリアドックの実践ガイド

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「与えられる」から「自分でつくる」キャリアへ

かつて日本では、会社が社員のキャリアを決め、育ててくれる時代がありました。入社したら定年まで勤め上げ、年功序列で昇進していく—そんな「レール」が敷かれていたのです。しかし今、そのレールは大きく揺らいでいます。

終身雇用の崩壊、副業の普及、テクノロジーの進化による仕事の変化、さらには人生100年時代の到来…。こうした変化の中で、私たちは「会社任せのキャリア」から「自分で描くキャリア」へと転換を迫られています。

「このままでいいのだろうか?」

多くの働く人が、こんな問いを心のどこかに抱えているのではないでしょうか。そんな時代だからこそ、自分自身のキャリアを主体的に考え、設計するための枠組みが必要です。今回は「セルフ・キャリアドック」というフレームワークを通じて、自分らしいキャリアを描き、実現するための具体的ステップを紹介します。

セルフ・キャリアドックとは何か?

「セルフ・キャリアドック」は、もともと厚生労働省が「従業員の活力を引き出し、企業の成長につなげる」ための制度として提唱したものです。しかし、この考え方は個人が自分自身のキャリアを見つめ直し、描くための強力なツールとしても活用できます。

「キャリア」というと、ついつい「仕事上の地位や役職」という狭い意味で捉えがちですが、本来のキャリアとは「人生すべての経験の流れ」を指します。子どもの頃の体験、学生時代の経験、仕事の内容、価値観、人間関係…すべてがあなたの「キャリア」の一部なのです。

セルフ・キャリアドックの基本的なステップは次の4つです。

  1. 自分自身を知る(価値観、強み、経験など)
  2. 将来、どうなりたいかを考える(方向性や理想像)
  3. そのために何をすべきかを決める(実行計画)
  4. 行動して振り返る(定期的なキャリアチェック)

これらのステップを通じて、自分の人生の地図を描き、一歩一歩前進していくのがセルフ・キャリアドックの本質です。

ステップ1:自己理解と現在地の確認

キャリアを考える第一歩は、「自分を知る」ことから始まります。車のナビゲーションが目的地だけでなく「現在地」を把握しないと経路を示せないように、キャリア設計も「今の自分」を正確に理解することが出発点となります。

経験の棚卸し

まずは過去の経験を振り返ってみましょう。最初のアルバイト、就職活動での選択、仕事で成果を出した経験、苦労した経験…。こうした経験の中に、あなたの「強み」や「大切にしている価値」が隠れています。

特に効果的なのが「ライフラインチャート」の作成です。これは人生の浮き沈みを波線で表現するものです。横軸に年齢や時期、縦軸に感情の起伏(上が「うれしい・充実」、下が「つらい・低迷」)を取り、線で結んでいきます。このチャートを描くことで、自分がどんな時に充実感を得てきたのか、エネルギーの源泉は何かが見えてきます。

強みと価値観の発見

自分の「強み」は、意外と自分では気づきにくいものです。以下の問いを通じて、あなたの強みを探ってみましょう:

  • 周囲からよく褒められることや頼まれることは?
  • 自分では当たり前にやっているけど、他人が驚いたことは?
  • 時間を忘れて没頭できることは?

同様に、「価値観」もキャリアを考える上での羅針盤となります。人の役に立ちたい、成果で評価されたい、家族との時間を大事にしたい、専門性を高めたい、新しいことに挑戦し続けたい…。あなたが大切にしている価値は何でしょうか?

ステップ2:キャリアビジョンの設定

自己理解を深めたら、次は「どこへ行きたいのか?」という目的地を設定します。これがキャリアビジョンです。

キャリアビジョンとは、単なる「職業」や「地位」ではなく、「こうありたい自分」の姿です。「何をするか」よりも「どうありたいか」に焦点を当てることが大切です。

キャリアビジョンを見つけるための問いかけ

  • 過去から探る:どんなことにやりがいを感じてきたか?
  • 現在から探る:今、大切にしている価値観は何か?
  • 未来から探る:5年後、どうなっていたいか?

こうした問いを通じて、あなたの理想像が少しずつ形を持ち始めるでしょう。ここで大切なのは、肩書きや職種にとらわれないこと。「部長になる」「コンサルタントになる」という外形的な目標より、「チームを育てながら成果を出している」「自分の専門性で多くの人を助けている」といった、あり方に注目するのがポイントです。

ステップ3:アクションプランの作成

ビジョンを描いたら、次は「行動」です。しかし、多くの人がこのステップで躓きます。「分かっているけど動けない」—その理由は何でしょうか?

  • 完璧を目指しすぎる
  • 最初の行動が大きすぎる
  • 「どうせ続かない」と自分をあきらめてしまう

こうした障壁を乗り越えるためには、「小さく始める」ことが鍵となります。3年後のビジョンを実現するために、まず1年後、半年後、来月、今週と逆算して、具体的な小さな一歩を設定しましょう。

例えば、「副業で月5万円の収入を得る」という3年後の目標があれば、まずは「週1回、関連情報のブログを書く」という小さな行動から始めるといいでしょう。

SMARTな目標設定

目標は「SMART」な形で設定すると実現しやすくなります:

  • S(Specific):具体的であること
  • M(Measurable):測定可能であること
  • A(Achievable):実現可能であること
  • R(Relevant):自分にとって意味があること
  • T(Time-bound):期限があること

続けるための工夫

行動を継続するためには、「見える化」「記録」「振り返り」が効果的です。カレンダーやアプリで進捗を色分けしたり、行動記録をつけたりすることで、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

ステップ4:心のケアとストレスとの付き合い方

キャリアを考え、行動に移す過程では、不安や迷いも生じるものです。しかし、こうした感情は「成長のサイン」と捉えることができます。

新しいチャレンジへの不安や、未知への恐れは自然なもの。それは「成長したい」という自分の意志が生んだ感情でもあります。

モヤモヤを整理する方法

頭の中の「モヤモヤ」は、言葉にして外に出すことで整理できます。ノートに書き出したり、信頼できる人に話したりすることで、感情が落ち着き、次の一歩が見えてくることがあります。

また、キャリア形成においては「頑張りすぎない」ことも重要な戦略です。立ち止まること、休むこと、流れに身を任せる時間を持つこと—これらも長く働き続けるための「セルフマネジメント」なのです。

ステップ5:定期的な振り返りの習慣化

キャリアは「描いたまま」では育ちません。時間の経過とともに、最初に立てた目標や行動計画が少しずつズレてくることがあります。だからこそ、定期的な振り返りが必要なのです。

自分だけの「キャリア面談」を実践する

月に一度、四半期に一度など、定期的に「自分と向き合う時間」をスケジュールに組み込みましょう。その時間に次のような問いに答えてみてください:

  • この期間で取り組んだことは?
  • できたこと・成長したことは?
  • 難しかったこと・工夫したことは?
  • 次はどんな行動を取りたいか?

こうした問いに向き合うことで、自分の成長を確認し、次の行動を決めることができます。振り返りを習慣化するためには、カレンダーに予定を入れる、フォーマットを用意する、「完璧」を求めすぎないといったコツが有効です。

人生100年時代のキャリア設計

かつては「若いうちにキャリアを決め、40〜50代でピークを迎え、60代で引退」というライフサイクルが一般的でした。しかし今や、60歳での定年は過去のものになりつつあります。70代まで働くことが当たり前になってきた「人生100年時代」において、キャリアは生涯にわたって更新していくものとなっています。

  • 30代:専門性を深める時期
  • 40代:マネジメントや転職などで選択肢が増える時期
  • 50代:セカンドキャリアを考え始める時期
  • 60代以降:地域・家族・社会貢献など新しい軸が生まれる時期

このように、年代によってキャリアの焦点は変わっていきます。大切なのは、その時々の自分と向き合い、「今」に合ったキャリアの形を探し続けることではないでしょうか。

まとめ:自分の人生と対話する時間を持とう

キャリアを考えることは、自分の人生と向き合うことでもあります。

  • 何のために働くのか?
  • 誰のために頑張っているのか?
  • どう生きたいのか?
  • 自分らしさとは?

こうした問いに完璧な答えがあるわけではありません。しかし、問い続けることで、あなたらしい働き方・生き方に近づいていくのです。

キャリアに「正解」はありません。未来をつくるのは、あなた自身です。モヤモヤしたら立ち止まり、言葉にして、また一歩を踏み出す—そんな小さな行動の積み重ねが、やがてあなたの人生を形づくっていくのです。

今日から、あなた自身の「セルフ・キャリアドック」を始めてみませんか?小さな問いかけから、あなたの新しいキャリアが動き始めるかもしれません。

この記事は、キャリアコンサルタント「みってる」氏によるUdemy講座「セルフ・キャリアドック完全実践講座」の内容をもとに作成しています。より詳しい内容は、講座や書籍『セルフ・キャリアドック』をご参照ください。

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