『認知行動療法』をご存じでしょうか?
起きた事柄の受容、受け取り方を修正して行動を変化させる治療法です。最近、ストレス軽減などで注目されているようです。
今回は『認知行動療法』について記載します。
認知行動療法は、認知と行動の両方に焦点を当てた心理療法であり、不健康な思考パターンを変えることによって行動と感情を改善する方法です。
認知は人により違いが生じる
認知は人により差が生じます。これは当たり前のことを大げさに書いていると感じる方もいるかもしれません。
「そんなつもりで言ったのではないのに!それは勘違い。誤解だよ!」といった経験はありませんか。
その経験があるのであれば、使われた言葉が意図した通りに受け取れていないという事になります。
「人は聞きたいことしか聞かない」
「人は聞きたいことしか聞かない」はゲーテの言葉としてインターネットで検索すると出てきます。
「人は理解したことしか聞かない」の方が正確な訳ではないかとの意見もあるようです。
相談者の話しを聞いて、あとで面談内容を振り返ることがあります。その時に「人は聞きたいことしか聞かない」という言葉を思い出すことがあります。
相談者の方から起きた事柄を聞いた時に、本人の受け取り方が分かります。多くの場合は、自分の話したことが理解され実行されないとの訴えです。
私が第三者として聞いていると、別の見方や受け取り方ができます。
その時に下記のように質問することがあります。
A :今回の事例は〇〇〇とも考えられますよね?(相談者と別の受け取り方)
B :また、△△△の可能性もありますよね?(相談者と別の受け取り方)
C :そして、相談者のおっしゃる通りの受け取り方もありますね。
相手は悪気がなく、AやBの可能性はないですか?
逆に本人の意見を肯定してから、2つの可能性を質問することもあります。
質問してみると「その可能性はありますね…。でも、私の受け取り方で間違いないです。」で終わるケースが多いと感じています。基本的に自分の考えを変えません。
そこには、可能性を感じながらも、過去の相手との会話や経験から自分の受け取り方で間違いないと考えるのではないでしょうか。
相手との関係性や自分の過去の経験などから、受け取り方はパターンがあります。個人差があります。
人により違う受け取り方
相談者の話しを聞いていて、前段の事例では会社を退職されました。AやBの可能性を調べることなく退職されたようです。
退職された事例は、極端な方だったのかもしれません。
極端な事例なので、自分には関係ないと考える方もいるかもしれません。
ただ、人は認知(理解、判断、論理等)に違いがあり、ズレが生じる可能性を知っておくことは重要です。
そして、ズレが生じることを知っておき、ストレスなく対応できる可能性があることを知っておくことも重要です。ストレス社会と言われて長い年月がたちます。
ストレス軽減につながる情報を知っておきましょう。
わたし自身も、人の話しを聞くときのクセがあります。時間をおいて考えたときに別な見方や受け取り方があることに気がつき、冷静になれる経験をしたことがあります。
認知行動療法(CBT)
人により話の受け取り方は違います。その違いによって、自分にとってマイナスになることもあります。
そのことを知ることで、ストレスを感じなくてよくなる可能性があります。マイナスになることを防ぐこともできます。
認知行動療法は、認知のバランスを取り、行動を変化させるとの考え方です。紹介します。
認知行動療法とは
精神療法の分野で注目されているのが認知行動療法です。認知行動療法は、認知療法と行動療法の組み合わせです。認知のバランスを取り、行動を変化させるとの考え方です。
療法と名前がついていますが、必ずしも病気というわけではありません。
認知行動療法の基本的な考え方は、私たちの考え方や行動が感情や心の状態に影響を受けているとの考えがもとになっています。
例えば、ストレスや不安を感じると、人は悲観的になり問題を解決できない状態になりがちです。そのような時に、認知行動療法では、考えかたのバランスを取り戻し、ストレスに適切に対処するトレーニングをします。
認知療法
認知療法は、患者が日常生活の中で自らの考え方に気づき、それを改善するためのツールやテクニックを学んでいきます。
例えば、自動思考と呼ばれる考え方に焦点を当て、それが現実とどの程度食い違っているかを検証します。
具体的にはイライラしたとき、モヤモヤしたときを思いだしてもらいます。なぜ、そのような感情になったのかを考えます。
これは、自分の自動思考が物事(相手の行動や話の内容)をどのように受け取っているかを見つめなおします。現実とのズレをや歪みを見つけます。
物事には必ず2つ以上の見方があることに気づいてもらいます。そして、物事の見方は相談者次第であることに気づいてもらいます。
認知行動療法
認知行動療法は「認知療法」と「行動療法」を組み合わせたものです。
認知療法は、人間の「認知」に着目して問題解決する
行動療法は、人間の「行動」に着目して問題解決する
この療法では、患者が日常生活の中で自らの考え方や行動に気づき、それを改善するためのツールやテクニックを学んでいきます。
例えば、自動思考と呼ばれる考え方に焦点を当て、それが現実とどの程度食い違っているかを検証し、バランスを取り戻していくことが重要です。
また、行動活性化という方法を用いて、日常生活の中で楽しめる活動ややりがいのある活動を増やし、適応力を高めていくことも行われます。
これまでの認知行動療法の活用は医療現場が中心
認知行動療法は、うつ病や不安障害、不眠症、摂食障害、統合失調症などの多くの精神疾患に効果があり、臨床の場で活用されています。
そして、この療法の素晴らしいところは、治療セッションだけでなく、日常生活を治療の場として活用することができる点です。患者には宿題やアクション・プランが与えられ、日々の取り組みが治療の一環となります。
また、認知行動療法はセルフヘルプの精神療法としても位置づけられています。患者自身が自らの考え方や行動を改善するための努力と訓練を継続的に行うことが重要です。
そして、治療者と患者が共同で問題解決に取り組む姿勢が育まれることで、より効果的な治療が実現されます。
セルフ認知行動療法(セルフCBT)
認知行動療法は、心の健康を取り戻したいと願う多くの人々にとって、ストレスを軽減する可能性があります。
日々、起きている事象を振り返ることで認知を確認します。
人はストレスを感じていると、正常な判断ができにくい状況になります。そのような時に認知療法で事象を振り返り認知の可能性を確認します。
認知には、複数の側面があります。自分の受け取り方に偏りがないかを確認することでストレスの軽減になる可能性があります。
認知行動療法のまとめ
- 認知の個人差
人はそれぞれ違う認知の仕方を持っており、同じ状況でも異なる解釈をすることがあります。これはしばしば誤解や誤認の原因となります。 - 人は選択性して聞いている
ゲーテの言葉「人は聞きたいことしか聞かない」という表現を通じて、人が情報を選択的に聞く傾向があることを示しています。これは認知のバイアスの一例です。 - 認知行動療法(CBT)
認知行動療法は、認知と行動の両方に焦点を当てた心理療法であり、不健康な思考パターンを変えることによって行動と感情を改善する方法です。 - 自己認知の傾向を知る重要性
日常生活において自己の思考や行動に気づき、それを改善することがストレスの軽減につながる可能性があります。認知のバランスを取り戻し、心の健康を維持サポートするたポイントです。 - セルフ認知行動療法(セルフCBT)
セルフCBTでは、日々の生活の中で自己の認知を確認し、心理的な健康を促進するための自己努力が重要であるとされています。