春の訪れとともに、多くの企業で新入社員を迎える準備が始まります。
中堅社員の皆さんの中には、「後輩の指導をどうしよう」「自分の経験は本当に役立つのだろうか」と、さまざまな思いを抱えている方も多いのではないでしょうか。
私自身、製薬会社での営業マネージャー時代、新入社員の育成に携わる中で、大きな気づきがありました。それは「教えることで、自分自身が成長する」という真理です。
後輩への指導は不安がつきもの
新入社員を迎えるにあたって、中堅社員の多くが感じる不安があります。
「自分の経験や知識で本当に教えられるのか」「うまく指導できるだろうか」。
このような思いは、実は成長への第一歩なのです。
なぜなら、この不安こそが自身の知識やスキルを見直すきっかけとなるからです。
私の経験では、後輩に教えるために業務の手順を整理し直したことで、より効率的な方法を発見できたこともありました。
教えることで見えてくる自分の強み
後輩指導を通じて、意外な発見があります。
それは自分の「強み」です。日常的に行っている業務の中には、実は高度なノウハウや工夫が詰まっています。
それらを言語化し、教えることで、自分自身の専門性や経験値の高さに気づくことができます。
例えば、ある中堅社員は顧客との商談準備の方法を新入社員に説明する中で、自分が無意識に行っていた情報収集や分析の手法が、実は大きな強みだったことに気づきました。
成長機会としての後輩指導
後輩指導は単なる教育活動ではなく、自身の成長機会でもあります。
具体的には以下のような側面があります。
まず、説明力の向上です。
業務の内容を分かりやすく伝えるために、自分の理解を深め、言葉を選び、構造化して説明する必要があります。
この過程で、コミュニケーション能力が磨かれていきます。
次に、視野の拡大です。新入社員の素朴な疑問に答えることで、当たり前と思っていた業務の本質的な意味を考え直す機会となります。
「なぜそうするのか」という問いに答えることで、業務への理解が深まります。
そして、マネジメント力の向上です。後輩の成長をサポートする経験は、将来のマネジメント職につながる重要なスキルとなります。
エンプロイアビリティを高める絶好の機会
新入社員の指導は、自身のエンプロイアビリティ（雇用される能力）を高める絶好の機会でもあります。
指導経験を通じて得られる「教える力」「育成力」「リーダーシップ」は、キャリアの次のステージで必要となる重要なスキルです。
私の経験では、後輩指導を通じて成長した社員は、その後のキャリアでより大きな役割を任されることが多かったように思います。
それは、人を育てる経験が、組織における価値を高めることにつながるからです。
明日からできる準備
新入社員を迎える準備として、まずは自分の業務を棚卸ししてみましょう。
日常的に行っている作業の手順、判断の基準、注意点などを書き出してみることで、自分の持つ知識やスキルが明確になります。
また、自身のキャリアを振り返り、どのように成長してきたのか、どんな失敗から学んだのかを整理しておくことも有効です。
これらの経験は、必ず後輩の指導に活きてきます。
そして何より大切なのは、後輩指導を「教える側の成長機会」として捉える視点です。
新入社員と共に学び、共に成長する。そんな姿勢で臨むことで、より充実した成長の機会となるはずです。
まとめ
新入社員を迎えることは、中堅社員にとって大きな挑戦であり、同時に成長の機会です。この機会を活かし、共に成長していく。そんな視点で新年度を迎えてみてはいかがでしょうか。
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